不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

警察犬の活躍。

 もう何年も前のことである。
 当地で逮捕されていた容疑者が警察から逃走した。
 実況見分で犯行現場に連れ出された際の僅かな
隙に逃げ出したのだ。
 これは一大事である。
 その容疑者は凶悪犯ではなかった。
 そのため逃走したとしても新たな惨事を起こすとは
考えられなかった。
 だが今や逃走犯である。
 捕まらないために死に物狂いになっているかもしれ
ない。
 想定外の凶事をしでかすかもしれない。
 何より逃走犯を出すということは警察の威信に関わ
る重大事案である。
 一刻も早く解決させねばならない。
 警察は捜査員を大量動員した。
 人海戦術で探し出すしかない。
 容疑者が立ち寄りそうな場所に急行させた。
 捜査員だけではない。
 警察犬も捜査に加わった。
 警察犬は容疑者の臭いを頼りに追跡を開始した。
 そして、ある工場まで捜査員を導いた。
 容疑者とは何の関わりもない工場である。
 それに逃走現場からかなり距離がある。
 だが警察犬は強くアピールした。
 その身振りによると、臭いは工場の敷地内にまで
続いているらしい。
 警察犬は敷地に入り追跡を続行した。
 そして敷地内にある小屋の前で止まった。
 捜査員が小屋に踏み込んだ。
 その小屋の隅には容疑者が隠れていたのだった。
 容疑者は即御用となった。
 警察犬の大変なお手柄である。
 微量の臭いだけを頼りに探し出したのである。
 しかも、そこは思いも寄らぬ場所だった。
 これは人間には出来ない技である。
 現在の科学技術も遠く及ばないだろう。
 際立った特殊能力である。
 隣の市には犬の訓練所があるということは知っては
いた。
 だが、それは遠い別の世界の話だと思っていた。
 実際に警察犬が事件捜査に参加しているということ
をその時初めて知った。
 私はそれ以来、警察犬には大きな敬意を持っている。
 彼らは治安の維持に大きく貢献している頼りになる
仲間である。