不二家憩希のブログ

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B-1グランプリの将来は? その⑤

 3つ目の条件もなかなか厳しい。
”その地域を代表するようなB級グルメであること”
である。
 これもシンプルではあるが、実は難しい。
 それは「これぞB級グルメ」といえるようなメニュ
ー・食品は、自らを「B級」とは決して名乗らないもの
である。
 B級とは何だ。
 失礼じゃないか。
 内心面白くなく思っている調理人や製造者は多い。
 1980年代中頃、日本ではバブル景気とともに美
食ブームが起こった。
 日本の歴史上、美食がブームとなったのは初めて
のことである。
 雑誌や新聞で特集が組まれガイド本が出版された。
 そうした美食ブームのなかで、その流れに反発す
る人達もいた。
 高ければ、おいしくて当たり前じゃないか。
 高ければ良いのか?
 食材を贅沢に使って価格に載せているだけでは
ないか?
 そうした思いを持つ人達が、グルメ評論には決し
て取り上げられないような店のメニューを記事にし
始めた。
 料亭やソムリエがいるようなレストランではなく、
もっと気軽に入ることができる店の食事である。
 ”B級グルメ”とはそれらのメニューを指す言葉と
して、編集者やライター等が使い始め定着してい
った。
 A級ではなく、B級なのである。
 この言葉は、その品に対して愛情を持ちながらも
B級と言い切ってしまっている。
 部外者としての冷たさがある。
 言葉として問題がある。
 勝手にB級と決めつけられた食品関係者は、
嫌な気分でいることだろう。
 何がB級だ。
 大きなお世話だ。
 本来、自ら「B級グルメでござい」と名乗ること自
体がおかしなことなのである。
 それがB-1グランプリではそうではない。
 B級グルメという言葉を、一種のブランド、ステイ
タスとして打ち出そうとしている。
 食品現場の人間の繊細な気持ちを最初から無
視してしまっている。
 大会の運営元の感性は、その程度のものなのか。
 そう割り切っているか、それとも気付いていない
のか。
 
 ~続く~