腕時計の電池の入れ替えは、やはり時計店で、
ということになる。
さて、その時計店にもいろいろある。
わが家から歩いて数分の(シャッター)商店街に
も時計店はある。
だが、そこには行きたくない。
それは、その昔、私が子供の頃にこんなことがあ
ったからだ。
父は普段から殆ど腕時計をしない人だった。
それでも一つだけ腕時計を持っていた。
その腕時計が壊れてしまい、新たな腕時計を買う
ことになった。
そこで近所のS時計店に行った。
私も父について行った。
S時計店は昔からある時計店で店構えも立派だ
った。
その昔は時計は価格が高かった。
高いとはいえ時計は生活必需品である。
無いわけには行かない。
高額商品+生活必需品という商売にはまたとな
い組み合わせである。
加えて今の主流である部品が少ないクォーツ時
計と違い、機械駆動の時計しかない。
それらは程よい頃に油が切れ故障する。
その修理でも利益が出る。
かつて時計店は、販売と修理でかなり儲かって
いたようだ。
店自体がちょっと威張った感じで、入るのに少し
気後れがするような店だった。
店に入ると、店主はお客である私たちを値踏み
するような視線を向けた。
店主は明らかに私たちを少し軽んじる接客態度
をとった。
大した品を買うようには見えなかったのだろう。
腹が立つというほどでもないが、嫌な気分には
なった。
昔は、こういう店主や店が沢山あった。
結局、その店で腕時計は買った。
だが、悪い印象だけは残った。
その後、その店主は亡くなり店は息子に引き継
がれた。
代が変わっても、その頃の悪印象だけは残って
いる。
先代店主によろしくない接客をされたご近所さ
んはわが家だけでないようで、その時計店には今
ではお客は来ないようである。
~続く~