不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

腕時計の電池を替えに行った。その④

 これは数年前のことである。
 私がいつも通る道沿いにも時計店がある。
 K時計店である。
 そこは同じ中学校区で店の存在は昔から知っている。
 知ってはいても、どんな店かはよく知らない。
 私は時計に殆ど興味がないからだ。
 その頃使っていたシチズンの腕時計が止まってしま
った。
 これは修理に出そうとその時計店に持って行った。
 その店の主人は、50代後半の男性だった。
 腕時計の状況を告げ腕時計を渡す。
 店主は裏蓋を外して中を見た。
 そして、これは当店では出来ないのでシチズンに送
って修理してもらうことになると私に告げた。
 私はそれに従い腕時計を店に預けた。
 数日後私は腕時計を受け取りに店に行った。
 だが、何か違和感がある。
 どうもぞんざいに扱われているような気がする。
 否、私の気のせいか。
 まぁ、こんなものか、その時はそう思って店を出た。
 それから数年後、その腕時計は再び止まった。
 もう長く使っていたので寿命が来たのだろう。
 その腕時計は永眠と判断した。
 その後、母や父の腕時計の電池交換にK時計店に
行った。
 その度に何か嫌な感じがした。
 ある時店主が電池を入れ替えた腕時計を渡してこう
言った。
「まぁ、こんな時計ですからね」
 カチンと来た。
 こんな時計とは何だ。
 確かに安物ではあるが、カシオ製である。
 お客が持ち込んだ品にケチをつけるとは、どういうこと
だ。
 改めて、K時計店の品揃えを見てみる。
 輸入腕時計が殆どではないか。
 シチズンセイコーも置いてはあるが、隅に追いやら
れている。
 輸入時計といってもロレックスやオメガはなく、ゼニス
やシンといったメーカーだった。
 それでも一個何十万円といった価格の品ばかりだ。
 なるほど、こういう店だから国産時計は安物に見える
のか?
 安物とわかっていても、それを他人に指摘されるとムッ
とするものだ。
 それが、小売店の人間に言われると尚更である。
 私はK時計店には2度と利用しないことにした。
 よく確かめもせず、そんな店を選んだ私も比があるが
 それにしても当地で、こんな高額腕時計ばかりを扱っ
て商売になるのかな、と思った。
 先日、久しぶりにK時計店の前を通った。
 店じまいセールの告知が貼ってあった。
 そりゃ、そうだろうな、と思った。
 
 ~続く~