不二家憩希のブログ

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ピーター・フォーク~コロンボ以上に変わった男。その21

 多くの桁外れの当たり役を持つ俳優が、その役に
辟易していることは多い。
 下降線を辿っている俳優なら、その役で得た過去
の名声を大切にし多くの人が持っているその役の
イメージを再浮上のきっかけとしたいところであろう。
 だが、そこそこ順調に俳優活動がおくれている俳
優にとっては、今の自分を縛りつけるものでしかな
い、と思ってしまうようだ。
 これを「贅沢だ」と観るか、「もっともだ」と観るかは
意見が分かれるだろう。
 コロンボ警部という桁外れの当たり役を持つピータ
ー・フォークは、どうだったのか。
 フォークは、世界中、どこへ行っても「刑事コロンボ
でお馴染みのピーター・フォークさん」と紹介されて
いた。
 街を歩けば「あっ!コロンボがいる」と指を差される。
 南北アメリカ大陸、全ヨーロッパ、アジアと世界で
フォークはコロンボ警部として迎えられた。
 ”刑事コロンボ”の視聴率が50%を超えるコロンボ
人気の高いドイツでは、小さな子供からお年寄りま
で誰からも「コロンボだ」と声をかけたれた。
 フォークは、こうした対応を非常に嬉しく思っていた
そうだ。
 これほどの栄誉はない、と考えていた。
 フォークにとって、コロンボ警部は忌むものでは決し
てなく、最も愛する役だった。
 コロンボのイメージが染みついてしまっていても、気
にしなかった。
 それらを一瞬で払拭する演技力を身につけているか
らであろう。
 フォークは、やはり普通の俳優とは違う感性の持ち
主である。
 
 ~続く~