不二家憩希のブログ

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ピーター・フォーク 刑事コロンボへの日々 その59

の特徴のその3は”デビュー以来日々着実にステ
ップアップしてきた”ということである。
 これは、当たり前のことのようだが、案外そうで
もない。
 多くの俳優がそのキャリアの途中で停滞期を経
験する。
 せっかくの役のオファーが当人の持ち味に合わ
ず、オファーを断ることもある。
 それ以前に役のオファー自体が途絶えることも
ある。
 また、演じてもあまり評価されないこともある。
 仮に観客や視聴者に受けなくとも、業界関係者
に評判が良ければ次の役のオファーも来る。
 だが関係者たちが関心を示さなければ、それで
キャリアはストップしてしまう。
 私たちは日々俳優、タレントたちの良い面ばかり
が報道されているのを見慣れているので(あぁ~
良い世界だなぁ~)と思いがちだが、実際は厳しい
のである。
 フォークは、映像デビュー当時は悪役・犯人役が
多かった。
 並の俳優なら、そのまま月日を過ごしていくもの
であろうが、フォークはそうではなかった。
 映像デビューから3年目の1960年の映画”殺人
会社”における殺し屋役で61年度のアカデミー賞
助演男優賞にノミネートされたのだ。
 たった3年のキャリアしかない俳優のアカデミー
賞のノミネートとは異例である。
 この頃のフォークの活躍はそれだけに留まらない。
 61年放送の”The Law and Mr.Jones"で61年度
エミー賞助演男優賞にもノミネートされている。
 同一年度でアカデミー賞エミー賞に同時ノミネ
ートされた俳優は、ピーター・フォークが史上初な
のである。
 これは大変な快挙である。
 フォークの躍進はまだ続く。
 翌62年度には、映画「ポケット一杯の幸福」でア
カデミー助演男優賞に、テレビドラマ”トマトの値段”
エミー賞助演男優賞にダブル・ノミネートされてい
る。
 2年連続のダブル・ノミネートも史上初である。
 これらのノミネートによりフォークの業界内での認
知度は一気に高まることとなった。
 俳優は急に舞い上がると図に乗ってしまうのか、
凋落もまた早いものだが、フォークにはそのような
様子は無かった。
 フォークは意外に真面目で堅実なのである。
 さすが元政府予算局の役人である。
 あるいは、有頂天となりその後駄目になっていった
例を見て自重していたのかもしれない。
 フォークはその後も、地道に助演を中心にキャリア
を積み重ねた。
 そしてフォークの元に持ち込まれる役や作品は、
少しずつ大きなものになっていった。
 こうした姿勢が”刑事コロンボ”に繋がっていくの
であった。
 
 ~続く~