不二家憩希のブログ

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ピーター・フォーク氏ご逝去に寄せて その37

 ピーター・フォーク、1960年の3本目の映画は
10月14日公開の”Murder, Inc.  マーダー・イ
ンク”だった。
 このマーダー・インクは、日本語に訳すと”殺
人会社”となる。
 フォークは、この殺人会社の中心人物、エイ
ブ”キッド・ツイスト”レルズを演じている。
 フォークは、当ブログでも1月28日の記事
記しているように”The Witness 目撃者”という
60分の非連続ドラマでも、同じエイブ・レルズ
を演じている。
 テレビ版の放送が12月22日、映画版の劇
場公開が10月14日なので、フォークはほぼ同
時期に同じ役をテレビと映画で演じていたとい
うことになる。
 テレビ版と映画版では、制作プロダクションが
異なっていることからも、当時のフォークはこう
いう役がうまくはまる俳優という評価が定まりつ
つあったと推測される。
 殺人会社は、1940年代のニューヨークに実在
した犯罪組織である。
 当時、マフィアは相互に結託し、シンジケート
と呼ばれる犯罪連合を組織していた。
 殺人会社は、シンジケートの要請により形成さ
れ高額の報酬と引き換えに殺人を請け負う闇の
組織だった。
 フォークが演じたレルズは、その殺人組織の中
心人物で凄腕の殺し屋だった。
 レルズの手口は、対象者に近づき、アイスピッ
クで一突きにする、というものだった。
 これなら、銃声も聴こえず、証拠となる銃弾も
残らない。
 またその巧妙な手法により、検死の際にも病死
と判定されてしまったケースが数多くあったとい
われている。
 映画の原作は、殺人会社を実際に捜査した検
事補バートン・タークスのノンフィクションで、この
映画も完全なドキュメンタリーではなく脚色された
部分があるもののほぼ史実に基づいたものとな
っている。
 米国人はこうした犯罪ドラマが大好きなのである。
 監督は後の名匠スチュアート・ローゼンバーグで、
フォークとは58年放送の”ネイキッド・シティ”以来
2本目の作品となる。
 映画は、低予算映画のB級映画ではあったが、
フォークの演技は大いに評判を呼んだ。
 そして、このレルズ役でアカデミー賞助演男優
賞にノミネートされたのだ。
 この年受賞したのは、同じくピーターでピーター・
ユスチノフだった。
 賞は惜しくも逸したが、それでもノミネートされる
だけでも大変な栄誉である。
 フォークは一躍、注目俳優の仲間入りをしたの
であった。
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 何とサラ・ヴォーンがクラブ歌手役で出ている。
 
 冒頭から4:46まで登場している。
 そして9:43に再登場している。
 
 フォークと話している男女が、この映画の主役である。
 レルズは、この豪華なアパートメントを二人にあてが
い、そこを隠れ蓑に麻薬密輸の中継地としたのだった。
 この女優メイ・ブリットは、この映画出演を最後に引退し、
サミー・デイビス・ジュニアと結婚している。(その後離婚)
 
 ~続く~