不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

Nさんと長い生き物。その①

 これはしばらく前のことである。
 昼間、我がお隣の庭から声が聞こえた。
「ぎゃぁ~~!!」
 真昼の空気を切り裂く絶叫である。
 お隣のNさんの奥さんの声だ。
 何だろう?
「ミミズ!うわぁ~、気持ち悪い!」
 Nさんは庭で草むしりをしていていて、そこ
で見つけたミミズに大騒ぎしているのだ。
 それにしても大きな声だ。
 そんなに大声を出すようなことなのだろうか?
 ここは私は顔を出さないでおこう。
 たかが、ミミズである。
 それに、こういう場面では、知らなかった、
聞こえなかったとした方がご近所付き合いと
してはスムースにいきそうだからだ。
 時に知らんふりも一種の気配りになるだろう
と判断したのだ。
 だが、聞き耳は立てている。
「もう、本当に嫌になるねっ!」
 Nさんは庭に放して遊ばせている愛犬にそう
話しかけている。
 犬もミミズくらいで何言っているんだ?と思っ
たかもしれない。
 それにしても、ミミズがそんなに怖いのだろう
か?
 確かに見た目は余りよくはない。
 しかし、それほど大騒ぎするほどの生き物で
はあるまい。
 むしろ土を耕してくれるので益をもたらす方が
大きいと思う。
 それが、私の認識だった。
 でも、世の中にはミミズが怖い人、苦手な人
はいるようだ。
 お隣のNさんも、そのうちの一人ということにな
る。
 ~続く~