朝7時、私は庭の雑草抜きをしていた。
本当はもっと早い時刻から取り掛かりたかったのだが、睡魔に勝てなかったのだ。
先日来の雨でまた伸びた雑草を抜いていると、お隣のNさん宅から声が聞こえてきた。
「だから、それは捨てたって」
奥さんの声である。
強い調子の声である。
「○△■◆○●△?」
旦那さんが問いかけているようだが、何を言っているのか判別できない。
「だぁから、捨てたって!」
奥さんが答える。
とにかく何かを捨てたらしい。
「◆○○●△△?」
旦那さんは尚も問いかける。
「捨・て・た・って!」
奥さんの口調は次第に強くなっていく。
これは喧嘩になるのか?
否、既に喧嘩になっているのか?
私は雑草を抜きながら耳をすませる。
同じやり取りが数回続いた。
奥さんは同じ返答しかしない作戦らしい。
約5分後、奥さんがこう言った。
「朝ごはん食べる?」
「食べるよ」
おぉ、停戦もしくは終戦か?
結局、このやり取りは喧嘩になることはなく、終わったようだ。
そして私は雑草を抜き続けた。
平和が一番である。