土曜日の朝は同時進行でいろいろと行う。
その合間、お隣Nさん宅の玄関先から声が聞こえてき
た。
ご近所のTAさんの声だ。
何か力を入れて喋っている。
TAさんは、このあたりでは有名な放送局である。
出力は大きく、放送基準も曖昧である。
内容に誤りがったとしても、その時点で自分が正しい
と思ったことは、どんどん発信してしまう。
話を聞いているNさんも災難だなぁ。
朝の忙しい時間帯に捕まってしまったのか。
お喋りもお付き合いなので仕方ないのか。
私は家事に戻る。
少しするとわが家の玄関の方から声が聞こえた。
「回覧板、ここに置いておくね」
お隣のNさんの声だ。
私は声だけで受け取りの返事をする。
わが家では回覧板は、このようにひと声かけて置いて
いってもらっている。
やっていた家事が一区切りし、私は回覧板を見に行く。
今回は頒布物も無く、行事の案内のプリントが二枚入
っているだけだった。
私はそれを読み終わると、すぐにその回覧板を持って
家を出た。
お隣のKさん宅へ回すのである。
道に出る。
人がいて何か喋っている。
TAさんとNさんだ。
私は挨拶をして通り過ぎる。
えぇ~、まだ喋っているのか。
一旦話は終わったんじゃないのか。
この場所でしゃべっているということは、しゃべり足りな
くてNさんがTAさんを追いかけてきたのか?
どれだけ話がしたいのだ。
話の内容は少しだけ耳に入ってきた。
シリアスな内容ではあるが、ここにいない第三者につい
ての話題である。
この二人には直接関係ないことだと思われる。
だが、彼女らの口調は真剣である。
なぁんだ。
先程のNさん宅の玄関先での会話も、Nさんは嫌ではな
かったのか。
おしゃべりが好きな人っているなぁ~。
エネルギーの無駄使いだと思うのだが、彼女らにはそん
な価値観は無さそうだ。
無駄なことに使ったエネルギーは、永遠に還ってこない
のである。