これは少し前のことである。
私は回覧板をお隣のKさん宅へ持って行った。
するとKさん(旦那さん)が「○○君(私のこと)、
ちょっと、ちょっと」と声をかけた。
そして「ちょっと聞きたいことがあるので、まぁ上
がりなさい」と私を招き入れた。
えぇ~聞きたいこと?何だろう?
私は玄関から左手にある応接室に入った。
このご近所で応接室があるのはKさん宅くらいの
ものだろう。
モノが日ごとに増え続けて、そんなスペースを確
保するのがもったいないからだと思われる。
一体何を聞かれるのだろう。
私はソファーに座った。
向かい側にはKさんご夫妻だ。
Kさんご夫妻は、70歳代で私の両親の世代であ
る。
まずは話題は最近の天候についてだった。
このあたりにも、そろそろ地震が来るんじゃないか?
津波が来たら、このあたりはどうなる?といったことだ。
私は地図上で海岸線から我が家までの距離を図っ
た話をした。
昨今ではこの関連の話題は大いに盛り上がる。
これ以上、暮らしと身の危険に直結する話は無いか
らだ。
そんな話を次々とした。
話しの口火を切るのはいつも私で、Kさんたちは、ほ
ぼ聞き役である。
その他にも、ご近所さんについてのごく差し障りのな
い消息話などをした。
話していて壁の時計を見ると、もう2時間も経っている。
私は、話の頃合いを見てお暇することにした。
家に戻って気がついた。
あれ?聞きたいことって何だったのだろうか?
ひょっとして、ただ話がしたかっただけなのか?
まぁ、良いか。
コミュニケーションは、とれるうちにとっておくに
限る。