夫妻の年齢やご子息の年齢から推測すると、今のお宅
が結婚生活における最初の家ではない。
どこか他の地で新婚生活をスタートさせ、今のお宅の新
築によりこの地に転居してこられたようだ。
新婚当初には、お隣さんは存在したものと思われる。
そもそもお隣さんがいない立地に住むという可能性は、
極めて低い。
これは日本の住宅事情からすると極めて低いことから推
測される。
Sさん夫妻がこの地を新居に決めたのは、「お隣さんがい
ない」ということが重要なポイントだったのではなかろうか?
S夫妻は元々お隣さんづきあいを好まない人たちなのか
もしれない。
あるいは、新婚当時にお隣さんづきあいで嫌な目に遭い、
「将来はお隣がない家に住もう」と言う希望があったのかも
しれない。
Hさんというお隣さんができるということは判明した頃から、
Sさんには心理的動揺が見て取れた。
Sさんくらいの高齢になれば内心は嫌でも、それを素振り
として表に出さないような配慮や社交術が会って然りであろ
う。
だが、Sさんにはそうした気配りはしない。
正直と言えば正直であるが、90歳前後の夫婦としては子
どもっぽい感は否めない。
肉体が老いて心理的耐性が落ちてしまったのか?
否、Sさんは昔からそいういう癖のある人だった。
さて、今後Sさんはどういうふうになるのであろうか?
世の中には他山の石がゴロゴロしている。
当町内も例外ではない。