不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

エンジニア・ロジャー・ニコルス氏、ご逝去。その⑱

 エンジニア・ロジャー・ニコルスにマスター・テー
プの不備を指摘されたMCAは、すぐにマスター・
テープを交換した。
 これは、MCAが最初から意図してコピーされた
マスター・テープを使用していたのか、うっかりミ
スなのか、その点についてはMCAが説明してい
ないの
でわからない。
 私は、これはMCAのミスなのではないか、と推
測している。
 欧米のレコード会社はマスター・テープの管理
がとにかく杜撰なのだ。
 このことについては、書き始めると長くなるので、
また別の機会に譲ることにする。
 ロジャー・ニコルスは、このように普通は黙って
いそうなことでも発言してしまう、大胆さを持って
いたと言える。
 ニコルスは、21世紀に入ってからのインタビュー
でこう尋ねられている。
「今現在のあなたの録音のオリジナル・マスターの
形態は何ですか?」
 時代は既に完全にデジタルである。
 コンピューターなどのハードの進歩も著しい。
 光ディスクか、あるいは、より技術的に洗練され
た形態のものなのだろうか?ということである。
 この問いに対しニコルスは、こう答えた。
「テープだよ」
 テープ?!
 この時代にテープなのか!と私はこの発言を読
んでそう思った。
 「Mrデジタル」と呼ばれ、デジタル録音の進歩に
大きく寄与してきた人が言うのである。
 これは私のような技術的な知識を持たない人間
ではわからない理由があるのだろう。
 ひょっとすると、新しいメディアで残してしまうと、
後年その音源を再生する際に再生機器が存在しな
いといった可能性も発生しかねない。
 そうした事態を回避するために、汎用性の高いテ
ープに残しているのだろうか?
 このあたりについておわかりの方は是非ご指摘い
ただきたいと思う。
 
 ~続く~