不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

フレディ・ハバード氏 ご逝去

 ジャズトランペッット奏者のフレディ・ハ
バード氏が12月29日に亡くなった。
 フレディ・ハバードは私が最も好きなジャ
ズトランペッターである。
 ハバードは最高のテクニックの持ち主で安
定感のある演奏を聴かせる。
 そのテクニックは同業のトッププロでも真
似のできないほどの高度なものだった。
 彼はまた、あらゆる演奏スタイルに対応出
来る柔軟なセンスも持っていた。
 本格的なハードバップ・ジャズだけでなく、
フリージャズにおいてもいくつもの名盤、問
題作に参加している。
 オーネット・コールマンの「フリー・ジャ
ズ」やジョン・コルトレーンの「アセンショ
ン」でも堂々たる演奏を披露している。
 その他にも、ジャズ・ロックや限りなくフ
ュージョン寄りの演奏も残している。
 本格的なフリー・ジャズの経験がありなが
フュージョン方面にも手を出しているのだ。
 こんな人は他にはいない。
 私がハバードの幅広い作品群の中で好きな
のは、これらのフュージョン寄りの作品であ
る。
 そしてハバードは1970年代から80年代にお
いて全米で最も人気のあったジャズ・トラン
ペッターである。
 これは日本の多くのジャズファンにとって
は少々意外なことかもしれない。人気があっ
たのはマイルス・デイビスじゃないのか?と
思われそうだが、実際にはそうではなかった。
 問題作を出したり隠遁したりといったこと
をしていたマイルスよりも、わかりやすく楽
しいハバードの方が大きな支持を集めていた
のである。
 ハバードは、何をどう演奏したら聴衆に受
け入れられるのか、ということをよく理解し
ていたクレバーなミュージシャンなのだ。

 私にとって、ハバードはジャズ史全体から
見ても最も偉大なトランペッターだった。
 この訃報は年末にもたらされたが、私にと
って今年の最も悲しい知らせとなった。