恐るべし、森進一唱法。

　この年末にもいろいろ興味深いテレビ番組
が放送された。
　格闘技番組を見た後にNHK紅白にチャンネル
を変えてみた。
　天童よしみの衣装は、どこかの教祖様みた
いだなぁ、と画面を眺めていた。
　私は、演歌には興味が殆ど無いのだ。
　天童よしみの次は森進一だった。
　この紅白で森は「おふくろさん」を解禁後
初めて歌う。
　こういう時の森進一は気合が入った歌唱を
することは大体予想されていた。
　そのいでたちは白のスーツに白の蝶ネクタ
イだ。森の意気込みが感じられる。
　歌う前に、森は一言話した。
　何を言うのかと思えば、直接騒動には触れ
なかったものの、区切りをつける意向を表し
たものだった。
　そして森は歌い始めた。
　歌に感情を込めるというが、この日の森進
一の場合は、感情に歌を載せるというスタイ
ルである。
　その歌い方は自己陶酔の類ではない。
　悪霊に憑かれているかのようである。
　口からエイリアンでも出てきそうである。
　もう少しで壊れそうである。
　恐るべし森進一。
　これが森進一唱法なのだ。
　こんな歌い方をする歌手は世界中に他には
いない。
　多くのソングライターが森進一に曲を提供
したがる気持ちもよく分かる。

　2008年紅白「おふくろさん」