不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

広川太一郎さん、ご逝去

 俳優の広川太一郎さんがお亡くなりになっ
た。
 私にとって広川さんと言えば、面白い軽妙
な人という印象がある。
 広川さんのような語り口はあまりに自然で
簡単に出来そうに聞こえるが、実は大変難し
いものなのだと思う。
 その困難さは、広川さんを真似した俳優・
声優が皆無だということによっても推し量る
ことが出来る。
 あ~いつも気楽そうにやってるなぁ、と思
わせておいて、実は誰にもコピー不可能なこ
とを日々やっておられたのだと思う。
 滑らかに軽快に喋りながらも軽薄に流れず、
しかも嫌味に聞こえない、ということはなか
なか出来ないことなのだ。
 多くのタレントが、親近感を増そうと軽め
に話そうとしてしているのを良く聞くのだが、
人間、軽く話そうとすると、どうしてもその
人の地金が出てしまう。
 隠そうとしていたもの表に出てしまい、多
くの場合は、その人の品性の低さを世間に晒
すという結果に終わってしまっている。
 その点、広川氏はいつも軽やかでありなが
ら、その語り口には品があった。
 最近では芸能人に品性を求めることが不可
能な時代になりつつある。品が無くとも、そ
れが自然であれば良いではないか、というム
ードがある。
 広川さんは、そんな世の流れのなかで、軽
妙であっても品性は保ち続けることが出来る、
ということを示し続けた数少ない俳優だと思
う。

 また一人、長い間親しんできた人が世を去
っていった。
 時の流れの中で、人は皆同じ方向に向かっ
て歩いている。
 その歩みは止められない。
 とどまっていて欲しいと願うものの、その
願いはかなえられない。
 人の宿命とはそういうものである。