不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

「ルパン三世・DEAD OR ALIVE」を観て。

 昨日、日本テレビで「ルパン三世 DEAD OR ALIVE
が放映された。
 この作品は、原作者のモンキー・パンチ氏がア
ニメ監督デビューを果たした作品である。
 漫画の世界では大ベテランのモンキー氏だが、
アニメの世界では新人なので、いろいろと戸惑う
こともあったそうだ。
 とは言えモンキー氏は、原作者である。
「私の言う通りに創りなさい」と命じれば、こと
はスムーズに運ばれるだろう、と思いきや、そう
は行かなかったらしい。
 アニメーターとの口論もいくつもあったそうだ。
 主な意見の相違は、ルパンの性格と行動パター
ンについてであった。
 モンキー氏は、ルパンは世間で思われているほ
どの好人物では決してなく、他人を身を呈してで
も助けるような人物ではない、ということを原作
者として表現したかった。
 テレビの旧ルパンと呼ばれている第一シリーズ
を観れば分かるように、元々はルパンはそれほど
温かみのある人物としては描かれてはいない。
 それが、「カリオストロの城」以降、盗賊であ
りながら時には正義の人となり活躍する人物とし
てその性格が徐々に変っていってしまったのであ
る。
 モンキー氏は、自ら監督をするに当たり、この
点については明確に劇画のルパン三世連載開始当
初の性格設定に戻そうと言う強い意志があったそ
うである。
 ところが、アニメ製作の現場で働くアニメータ
ー達は、「カリオストロの城」の影響を強く受け
た人ばかりだった。
 アニメーター達は、「このシーンでは、ルパン
は当然のように女性を助け出す」と意見を言う。
 一方、モンキー氏は、ルパンはそんな人間では
ない、と反対する。
 モンキー氏とアニメーター達のルパンに対する
思い入れは大きく異なっていたのである。
 既に製作に取り掛かっているにもかかわらず、
かなり基本的な点で議論が交わされるような状況
になってしまったそうだ。
 議論ばかりしていても製作は進まない。締め切
りも当然迫ってくる。
 困ったモンキー氏は、どうしたか。
 結局、それまでのルパン作品よりも、かなりハ
ードボイルドな描写になったものの、ルパン三世
の性格付けはアニメーターの意見を取り入れるこ
とになってしまったそうだ。
 アニメーター達が、どうしても折れなかったか
らである。
 原作者が譲歩したのである。

 宮崎駿、恐るべし、である。
 もちろん、宮崎氏が後ろで糸を引いていたとい
うわけではない。
 その作品が持っている巨大な影響力は、原作者
にまでも影響を与えてしまったのである。

 ちなみに、私は宮崎作品はそれほど好きではな
い。
 
 私は、モンキー・パンチ氏が、本当に表現した
かったルパンとはどんな人物なのか、観てみてみ
たいと思っている。
 モンキー氏の再登板があれば良いし、氏の意向
を十二分に汲んだ監督が新たに作品を制作しない
ものか、と思っている。

 それにしても、この作品「DEAD OR ALIVE」は
素晴らしい。
 個人的には、「複製人間」に並ぶ傑作だと思っ
ている。

 なお、私にとって「カリオストロの城」は番外
編でしかない。