不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

スーパーのトイレでの若いお父さん達。

 いつものスーパーでは、日曜日に力を入れているら
しく、特売のアイテムが多く、値引率も大きい。
 特に開店直後から12時までと4時からの2回のタ
イムサービスには目玉品があるのでお客の入りも一層
多くなる。
 私もそれで出かけて行った。
 落ち着いて計算すれば、大した金額が得になるわけ
ではないのだが、同じ品物が値引きになるとあれば、
つい買いに行ってしまうのだ。
 
 店に着いた。
 買い物の前にトイレに行く。
 トイレの方へ歩いて行くと、若い小柄なお父さんが
5歳位の男の子と4歳位の女の子を連れて前を歩いて
いる。
 子供を連れていなければ、高校生に見えてしまうよ
うなお父さんである。
 トイレの前に来ると、そのお父さんと女の子の方が
言い合いを始めた。
「お父さんは、こっち(女性用)に入れないからこっ
ち(男性用)でしなさい」とお父さん。
「一人で出来るって!」と女の子。
 トイレの前でもめている。
 少しの後、お父さんの方が折れて、女の子は一人で
ドアを開けて女性用の方へ入って行った。
 それから、お父さんは男の子と一緒に男性用トイレ
に入って行く。
 男の子の用事は、大の方であった。
 男の子は個室に入る。
 しばらくすると、個室の中から男の子の声がする。
「おとうさ~ん、仕上げ」
 すると、お父さんは、
「小学校に入ったら、仕上げは自分でするんだぞ、出
来るか?」と言って個室の中に入っていった。
 仕上げって何だ?
 どうも、お尻を拭くことを、この家庭では、仕上げ
と呼んでいるらしい。
 仕上げ、か。
 このお父さんは、何処かの工場にお勤めなのだろう
か。仕上げと言う言葉には、何か加工業の響きがある。
 こういう家の中だけで通用する言葉って面白い。
 それから、別の若いお父さんがトイレに入ってきた。
 このお父さんは長身で、連れているのは3歳位の女
の子である。
 女の子は、小の方をしているお父さんの真後ろで不安
そうな顔をして待っている。
 この子も、あと少しすると、男の方には入りたくない、
とか言うのであろうが、今はまだそんなことを言う素振
りもない。

 日曜日のスーパーには、家族連れが沢山来ている。
 きっと、お母さんが買い物に専心できるように、子守
はお父さんの役目なのだろう。
 お父さんによっては、ぎこちない人もいるが、どのお
父さんも真剣である。
 若いお父さんは、家庭に対しては意外に真面目なので
ある。

 私は、その後、特売になっていたチーズを買った。
 それから、誰も待つ人のいない家に向けて自転車を走
らせた。
 4時過ぎともなると、斜めに吹き付ける風が冷たかっ
た。