午前11時、いつものスーパーの特売に出かけ
た。
タイムセールには、まだ時間がある。
ゆっくりと自転車を走らせる。
通りから横道に入ったあたりで、大きな声が聞
こえた。
「それじゃぁ、またね~」
「はい、さいなら~」
声がする方向見ると自転車に乗った女性たちが
走り出すところであった。
この人たちは、どういう人たちなのか?
中高年の女性が、6人ほどである。
私はその場面を見たわけではないが、おそらく
町内の公民館から出てきたのだろう。
そうか、町内の文化サークルの参加者か。
当町内では公民館を利用して文化サークルが
いくつも活動している。
茶道や生け花、ちぎり絵細工、日本舞踊などい
ろいろある。
講師を務めるのは、町内在住のその道の達人
たちである。
町内にはそれを専業として生計を立てているわ
けではないが、先生として教えることができる人が
何人もおられる。
茶道や生け花の先生は、もちろん免状を持った
ベテランである。
普段は家庭の主婦などをされていて、サークルの
時間だけ先生に早変わりである。
威張った感じの先生は一人もおらず、教える側と
教わる側のコミュニケーションも極めて良好だそうだ。
自転車の小集団の女性たちは時間的に土曜日の
午前のサークルを終えた人達であろう。
楽しいひとときを過ごした後のようで、互いに掛け
る声が弾んでいる。
私は、その集団をゆっくりと追い越してスーパーに向かった。