不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

市長選の結果

 先日このブログにも書いた市長選挙が開票された。
 新人で元市議会議長が現職を大差で破って当選した。
 当地のように、強固な保守地盤で現職が新人に負ける
というのは、珍しい。
 新人と言っても、市議会議長まで務めたこともあり、
市政においてはベテランと言っても良い。
 今回はあらゆる点で、両候補は対照的であった。
 現職は長い教師生活の後に市長選に出て当選。
 新人は営業マンから、市議になり長い市議生活の後議
長まで務めた。
 現職は地元の教育大学出、新人は関西の有名私学出身
である。
 候補者二人の経歴があまりに異なっているので、かえ
ってその違いが目立たなくなってしまった。

 今回の選挙の争点は、市民病院の移転問題の一点であ
る。
 市民病院を市の中心部に移転させようとする現職の主
張に真っ向から異を唱え、今春の市議選を辞退し市長選
に挑んだ新人の戦いはいつになく白熱したものになった。
 ほんの数ヶ月前までは、現職圧勝、という声が囁かれ
ていたのだが、新人の分かりやすい理詰めの戦略に現職
は、徐々に支持を失っていった。
 囁く声と言うのはいつだって、いい加減なものだ。
 新人候補が、移転をすれば市の中心部の高い地価の代
金、敷地を大きく取れないためになされる病棟の高層化
のためにかかる高額の建設費、予定地にある市営住宅
移転と保障費などが莫大に必要だ、高層化すれば、老人
に無理を強いることになる、という分かりきってはいる
が明快な主張に現職はいっぺんに悪役になってしまった。
 あれだけの悪役ぶりは、タイガー・ジェット・シン以来で
ある。そのため現職には味方が殆どいなくなってしまっ
た。
 一度、悪役になってしまうと再び信頼を取り戻すのは
難しい。
 現職は横暴だ、という印象を持ってしまった市民の多
くは、新人へ投票したのであった。
 
 実は現職には、市民病院移転の件以外にはこれと言っ
た失点は無かった。
 ただ、この移転話だけが致命傷となってしまったので
ある。

 破れた現職の敗戦の弁を新聞で読んだ。
「9月の市議会の答弁の準備で、選挙運動が出来なかっ
た。市長の仕事は病院移転だけではないのに・・・」と
中学生のようなことを言っている。
 新人がビラやチラシを各戸に配って運動していたのに
対し、現職はそういった運動は殆どしていなかったよう
だ。自分が市長として稼いだ分は、自分だけで独り占め
しようとしたのであろうか。
 このあたりが、教員上がりの政治家の脆弱で甘いとこ
ろであろうか。

 投票率も前回を6.07ポイントも上回るものとなった。
 有権者は、動く時には動くものである。
 市民にとって大事な市民病院を軽く見たのが、現職の
誤りだった。
 医療行政が今の日本の重要課題であることを、現職は
理解できていなかったのであろう。
 
 私としては、妙な移転話に終止符が打たれてほっとし
ている。