今週のお題「卒業したいもの」
「卒業したいもの」と言えば今生である。
この今の生涯である。
自分の想定以上の期間を生きてしまった。
30代までは、こんなに長く生きるとは思っていなかった。
「病弱だったから」というわけではない。
ただ(自分の寿命は短いだろうな)と思って生きてきた。
だが、それが思いもよらず、今日まで生きることとなっている。
人は自分の願望を元に長寿を願うことが多い。
だが、それは的外れである。
自分の命の長さは、自分で決めることはできない。
ただ、生かされているのである。
大家さんから「あなたは、もうこの借家から退去してください」と告げられれば、否応無しに、それに従うことになる。
「もっと、この家に住まわせてください」とお願いしても,無駄である。
借り主には、居住権は認められていない。
大家さんの一存で、全ては決められる。
この借家とは、この肉体である。
大家さんとは、見えざる手である。
私は、大家さんからの退去命令が出るその日まで、生きていくことになる。
退去の日、つまりこの肉体からの卒業は、何時来るのか?
人は、それを知らされずに日々暮らしている。
見えざる手からは、明るく生きることが求められている。
その意向に従って、卒業の日まで過ごすことにしたい。