今は世の終末期である。
終末期が終われば、新しい世界が現れる。
新しい世界に相応しくないものが、まさに今、消え去りつつある。
強制退場である。
今はそういう期間である。
その消え去り方は、意外なほどスムーズに行われている。
無理やり追い出す、といった強引さはない。
それにふさわしい状況が用意され、そこに当事者を載せ、速やかに移動させる。
このスマートさは想定外である。
手法が優しいのである。
退場者に関わりがない人には、余波が及ばないような配慮もある。
キメが細かく、目が行き届いている。
これは意外だった。
世の終わりには、もっと荒っぽいことばかりが起こると思っていたからだ。
今のところ、ドサクサに紛れて追い出されるということは無いように見える。
退場者が納得できる状況が提示され、彼らはそれに従って出ていっている。
実に紳士的である。