不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

ロシア人は義理人情を理解する。前田日明のメルマガより

 私は前田日明氏の無料メルマガを購読している。

maedakira.theletter.jp

 今回は、そこから引用する。

「リングスが終わったのも40代ですよね?

 前田 リングスをたたんだのが41歳。あれはWOWOWが放映を終了することになったんで、放映権料がなかったらどう考えてもリングスを維持できなかったんだよね。海外ネットワークの維持にも金がかかったからさ。

 ──海外ネットワークに対して前田さんがお金を払っていたってことですか?

 前田 もちろん、もちろん。ブラジルとかオランダとかの支部長にね。彼らと契約する時に言ったのが「君たちも日本と同じ、独立興行形態を敷いて選手育成とプロ興行をする団体を作るんだよ」っていう話。で、「そのために必要な資金はこちらから提供するよ」って。

 ──フランチャイズみたいに向こうが本部にお金を払う形じゃなかったんですね。

 前田 総合格闘技ってものを彼らは全然わかっていないし、「俺らはこういうものをやりたいからやってくれないか」とオファーして、向こうは「わかりました、やりましょう。でも、どうやったらいいんですか?」っていう状態だったからね。レールがあるところにどういう列車を走らせるかという話だったら、「うちのレールを使うんだから金を払えよ」と言えるけどさ、レールを敷くところからだからね。

 ──そうか。

 前田 じゃなかったら今頃、都内で大豪邸を建てて葉山ににデカいクルーザーを停泊させてますよ(笑)。

 ──えっ、そんなに? 年間どのくらい払ったんですか?

 前田 億単位ですよ。ブラジル、ロシア、ブルガリアグルジア、オランダ、アメリカ、一番最後は韓国もあって7カ国。金額の大小こそあれ、なんだかんだで数億払ってたよね。

 ──ネットワークが増えれば増えるほど赤字(苦笑)。

 前田 そうそう(苦笑)。

 ──でも、オランダとかロシアで興行やりましたよね。

 前田 やったよ。そうやって始めたところは払うように言ったけど、それ以外は出ていくばかりだよね。だから、大相撲協会方式。その基盤というか、レールができたらフランチャイズにもなるんだろうけど、それには各支部で興行をやってくれないとね。オランダ、ロシアはやって、グルジアもやる寸前までいったけど、内戦とかが起きてややこしくなって。あと、韓国にオリンピックのアジア大会グレコローマンアジア大会で2連覇した100キロ級の選手がいたんだよ。それが猪木さんの若い頃と顔が瓜二つなんだよ、身体も。

 ──ほぉ。

 前田 そいつをスカウトしたんだよね。そしたら、がんになっちゃってあっという間に死んじゃったんだよ。彼がいたら、また少し違ったかもしれないね。で、不思議な話があってさ、彼が死んだ翌日かなんかにリングスで大きなイベントをやって、その終わりに、みんな集まって会食することになったんだよ。社長の黒田さんが乾杯の音頭をとったんだけど、黒田さん「それでは」って発声したきり、10秒ぐらい何も言わないんだよ。「黒田さん、大丈夫ですか」って俺が声をかけたら「あ、乾杯!」って言って気がついたんだけど、あとで聞いたら、「前田君の目の前に死んだ韓国の彼がいたんだよ」って。「いや、自分は何も見ませんでしたよ」と言っても「いや、赤いセーターを着た彼が手を振って、前田君の顔を見ながら乾杯したんだよ」っていうんだよね。俺には見えなかったんだけど。黒田さんがそういう体質の人かと思って聞いたら「そんなの見たの、初めてだよ」って言うからさ、「あの世に行く前に挨拶にきたんかな」って思ってさ。

 ──前田さん、そういう話が多いですよね。

 前田 多いけどね、これはいい話だよね。

 ──だから、そういうのも含めていろいろあったリングスが41歳の時に崩壊したと。どんな気持ちだったんですか? 

 前田 オランダの人間は簡単にPRIDEに移っていったけど、ロシアの選手は解散っていうまで向こうには行かなかったよ。あの時、ギャラ5倍とか6倍とか提示されていたのに、だよ。

 ──義理堅いですよね、ロシアの人たち。

 前田 ロシア人っていまウクライナ戦争もあって悪く言われることが多いけど全然違って、外国人の中では一番日本人に合う人たちだよ。なんでかっていうと義理人情がわかるから。

 ──昔、アレキサンダー・カレリンにインタビューした時に、「ロシア人はアジア人だ」って言ってたんですよね。

 前田 そうそう。アジア人だよね。アメリカ人よりも話は合う。で、言っていいことと、悪いことをちゃんと考えて喋るしね。

 ──付き合いやすかったんですか?

 前田 付き合いやすかった。昭和のバンカラ学生みたいでさ、飲めや唄えやのどんちゃん騒ぎが好きでさ(笑)。バンカラだよ、バンカラ。日本人と合うから、日本にいるロシアの評論家ってみんなロシアをかばうでしょ。

 ──東大の小泉悠さんとか(笑)。

 前田 それは心情的な部分なんだろうね。

 ──奥さんがロシア人ですもんね。

 前田 ロシア女性ってよく知ってて、付き合うことはしなかったけど、西洋の白人女性の中で一番東洋的だよ。亭主が飲んだくれで働かない、どうしようもない奴なのに、自分が働いて食わせてるような奥さんとかいっぱいいたしさ。で、話を聞いたら「うちの亭主は、こういうことがあっていまは傷ついているけど、もう少ししたらまともになりますから」って信じて頑張ってるんだよね。要は、アル中なんだよ、亭主が。

 ──もうモロに昭和枯れすすき的な(笑)。

 前田 ロシア人は信じれないぐらい酒が強いんだよ。アルコール専用の胃が別にあるんじゃないかってぐらい強い。だってさ、ペレストロイカウォッカが買えなくなった時もアルコールを飲んでるんだよ。「どうしたの? グルジアのワインとかを飲んでるの?」って聞いたら「そうじゃない」って。「じゃあ何を飲んでるの?」って聞いたら、「オーデコロンだ」だって(笑)。

 ──えーっ! 飲めるんですか!?

 前田 飲んじゃうんだよ。なんでも消化しちゃうんだよ(笑)。

 ──よくそんな人たちと戦ってましたね(笑)。

 前田 ホントだよね(笑)。

 

 前田日明氏は、私が会ってみたい数少ない有名人の一人である。

 会ったら、御本人が希望すればダイエットを指南するのだが。