他に例がないほどエゴが強かった。
自分がメインでないと録音しない、ライブでも演奏しない。
極稀に共演しても1曲から数曲までである。
自分以外の存在の引き立て役など我慢できない。
他のロックギタリストではどうだろう。
ヤードバーズの三羽烏と言われたエリック・クラプトンやジミー・ペイジはどうだろう?
彼らは普通に歌手の伴奏をし、バックに回る。
バンドメンバーと協調してして演奏する。
歌手が歌っている時は全面的にバックアップする。
リッチー・ブラックモアも同様だ。
バンドの歌手をもり立てるギターソロを弾く。
ありとあらゆるロック・ギタリストが同じ姿勢で音楽を作る。
強烈な個性の持ち主だったフランク・ザッパやプリンスもまた、メイン歌手や奏者を引き立てる演奏をする。
ギタリストである以前にバンドメンバーとしてという意識が確立していた。
だが、ジェフ・ベックにはそうした意識は皆無だった。
得意なキャラクターの持ち主だった。
こんなギタリストはロック界広しと言えど、彼だけである。
一人も思いつかない。
他にいない。