父の話を今日も記す。
ある時、父は山に行き夕方に帰って来た。
「マムシがいたので獲ってきた」
えぇ~、マムシ!?
「これでマムシ酒を作る」
実に嬉しそうだった。
この人はマムシも怖くないのか?
どうやって捕まえたのか?
父はハチの場合と同様に詳細は一切語らなかった。
そういう人なのだ。
ペラペラと他者に報告して悦に入るというところがない人だった。
あぁ~、わからないなぁ、この人は。
私とは親子の関係だが、まるでわからない。
他人のようなものだ。
父には普通の人と大きく異る点がいくつもあった。
そんな父でもマムシに噛まれれば、一発で絶命することは知っていたはずだ。
だが、怖がらず、捕まえてしまう。
何故、そんなことをするのか?
「マムシがそこにいたからに決まってるだろう!」
まぁ、それはそうだけれど。
ちなみに私は蛇は怖い。
毒は持っているがほとんど噛まないヤマカガシでも怖い。
普通の人間である。
変わった才能は遺伝はしていないようだ。