今回引っ越すお隣のKさん夫妻は、ここ最近急に老いが顕著になっていた。
旦那さんは耳が遠くなり近くで話していても聞こえない。
大声で話しかけないとわからない。
足腰も弱くなり動きが遅くなった。
外出時は必ず杖をつきゆっくり歩く。
我が家に回覧板を持ってきてくれることもあったが、狭い我が家の庭を通って玄関にまで来るまでに3分近くかかる。
普通の人なら3秒もかからない。
方向転換も難しいようだ。
振り返ってすぐに歩き出すということが出来ない。
奥さんは老人性の目の病気である。
本人曰く「目が見えない」そうだ。
これは誇張した表現で、実際には見えている。
ただ、かなり近づかないと相手の顔の表情がわからないそうだ。
お二人が今のような状態になったのはいつぐらいからだろう。
昨年の今頃は、そうでもなかった。
急に老け込み始めたのは、ここ半年、否三ヶ月くらいでろう。
あまりにも急激な変化である。
何かアクシデントが起こる前に息子夫婦の世話になろう、ということなのかもしれない。
このあたりについて、お二人に直接尋ねたら、詳細を話してくれるだろう。
だが、それを私が知ったところで、どうなるわけでもない。
知らないでいた方が幸せな場合もある。
Kさん夫婦は私にとって老いを直視させる一例となった。