通夜は6時開始だった。
今の時期、この時間帯はまだ明るい。
式場はいつもの場所である。
着いて式場の自動ドアを開ける。
新型コロナ肺炎が流行ってから、私はこうした場に入るのは初めてである。
どうなっているのだろう?
やはり何か対策がされているのだろうか?
式場を見渡す。
入って席に着くまでのスペースにテーブルが設置され、二本の消毒用アル
コールが置かれている。
説明書きが添えられている。
席につく。
椅子が間隔が置かれている。
私は上腕部で測ってみる。
その幅40cmくらいか。
三密を避ける配慮である。
前後はそれほどでないが、それでも以前よりも離されている。
これが最大限の距離であろう。
他に対策はあるだろうか?
しばらく見渡したが、他には何も見つからなかった。
まぁ、こんなものだろうな。
これ以上距離をとったら式場として機能しなくなる。
式場としても苦慮しているものと思われる。
式場に大きな過失がなくとも、仮に感染者が入場し、そこでクラスターが発
生したら、その事実だけが広まってしまう。
式場の評判はガタ落ちとなる。
式場が最大の悪因という認識になってしまう。
気の毒である。
そのせいなのか、場内には微妙な空気が流れているように感じた。
そうしているうちに参列者が集まり、開式の時刻となった。
~続く~