TMさんには二人の息子さんがいた。
長男は地元のお堅い職場、次男は日本人なら誰でも知っている世界的な企
業に勤めている。
旦那さんはリタイアし楽しい老後を送っていた。
だが、次第に体の不調を訴える様になり、外出することもなくなっていっ
た。
近年では、近所の人でも「もう何年も姿を見たことがない」という状態だ
った。
つい数日前、「危篤状態だ」という話が流れてきた。
単なる噂ではなく、家族のどなたかがそう言ったという話だった。
そして、その話は現実となり、おばさんは亡くなってしまった。
私にとっては、自分が幼い頃から知っている方だった。
私が認識した初めての世間の人でもある。
そうしたおじさん、おばさんが少しずつこの世を去っていく。
これは避けられないことである。
だが、やはり寂しいものがある。
~続く~