私は買ってきた品を置くと、すぐに式場に向かう。
お隣のNさんの旦那さんが少し先を歩いていく。
早足の私はすぐに追いついた。
「お出かけ?」
Nさんはそう声をかけてきた。
私は、秋葉様のお祭りに参加する旨を告げた。
「そうなんだ、僕もだよ」
あぁ、そうだった。
Nさんは今年度の町内会の役員なので、町内会主催の行
事には自動的に出席するということになっているのだ。
「でもね、僕は秋葉様の行事には今まで一回も出たことが
無いんだよ。だから、何も知らないんだよねぇ」 秋葉様のお
祭りはその年に順番が回ってきた班の住民
は事実上の強制的参加が要請されるが、それ以外の住民は
自由参加の行事である。
町内の行事の多くを奥さんに任せてきたNさんのような人は
珍しくないのだろう。
「ケーキ君はいつも出ているの?」
私はほぼ毎年出ていると言うと、少し驚いたようだった。
歩きながら話を続ける。
今年は暖冬傾向ですね、と話題を振るとNさんはこう言った。
「寒いのかそうでもないのか関係あるのかわからないけれど、
実はうちは僕とかみさんと娘が揃ってインフルエンザに罹った
んだよ」
~続く~