まだ若い青年僧で体格が良い。
寺で出される精進料理だけでこんな頑丈そうな体が維
持できるのか。
実に効率が良い身体である。
ここの坊さんは全員住み込みである。
食事を始め生活全般の多くのことが寺院により厳しく
管理されている。
ちょっと信じられないところまで監督の目が光っている。
寺院の仕事が終わった後の時間にもその指導は及ん
でいる。
それも修行の一環である。
私は内情をそこそこ知っているのだ。
私は金券を寄付したい旨を申し出た。
青年僧は記入用紙を私に差し出し、記入を促した。
物腰は柔らかい。
へぇ~、こんな用紙があるのか。
用紙は祈願等にも使うような体裁になっている。
これは寄付で祈願申込みではない。
ちょっとしたら仏前で名前が読み上げられるのか?
どうやらそのようだ。
う~ん、それはちょっと感激だな。
あの巨大な拝殿で自分の名前が神霊に報告される。
嬉しいと同時に恐縮してしまう。
大して信者でもないのに申し訳ない。
~続く~