不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

金券を寄付しに行った。その⑤

 受付には坊さんが座っていた。
 まだ若い青年僧で体格が良い。
 寺で出される精進料理だけでこんな頑丈そうな体が維
持できるのか。
 実に効率が良い身体である。
 ここの坊さんは全員住み込みである。
 食事を始め生活全般の多くのことが寺院により厳しく
管理されている。
 ちょっと信じられないところまで監督の目が光っている。
 寺院の仕事が終わった後の時間にもその指導は及ん
でいる。
 それも修行の一環である。
 私は内情をそこそこ知っているのだ。
 私は金券を寄付したい旨を申し出た。
 青年僧は記入用紙を私に差し出し、記入を促した。
 物腰は柔らかい。
 へぇ~、こんな用紙があるのか。
 用紙は祈願等にも使うような体裁になっている。
 これは寄付で祈願申込みではない。
 ちょっとしたら仏前で名前が読み上げられるのか?
 どうやらそのようだ。
 う~ん、それはちょっと感激だな。
 あの巨大な拝殿で自分の名前が神霊に報告される。
 嬉しいと同時に恐縮してしまう。
 大して信者でもないのに申し訳ない。

 ~続く~