次は大広間での健診である。
短い通路を歩く。
紙コップには尿が入っている。
少ししか入っていないのに、(こぼしてしまうのでは?)
という危惧が頭をよぎる。
つまづいて転ばないようにしなければならない。
転ぶということは、まず無い。
だが、万が一ということがある。
足元を確かめそろそろと歩く。
あるいは手元が滑って落としてしまうかもしれない。
落とさないようにしっかりと掴む。
薄い緊張感に包まれる。
自分のものとはいえ中身は尿である。
微妙な心境である。
こういう点が移動健診ではネックだなぁ。
まぁ、それは仕方ない。
何事も一長一短があるというものだ。
医院での健診ではトイレ内の所定の場所に置いておけば、
それで済む。
あのシステムはありがたい。
~続く~