った。
それもこの市民館のトイレ事情で仕方がない。
少し待った後、私は職員に指示されトイレに入る。
もうひとりの男性と一緒だ。
その男性は、市民館前の道路で立って待っている時に
延々とおしゃべりををしていた長身の男性だった。
私は早速尿採取を開始した。
するとその男性が私に話しかけてきた。
えぇ~、こんな場所でもおしゃべりしたいのか?
私は相手をしたくないので「あぁ~」とか「へぇ~」と気の
ない返事をする。
男性は私が話をしたくないとないと察したのか、それ以
上話しかけてはこなかった。
ひょっとすると道路で一緒におしゃべりをしていたもうひ
とりの男性とは特に友人というわけではなく、たまたまこ
の場で出会い、話しかけられたので、そのおしゃべりに付
き合っていただけではないだろうか?
無駄なおしゃべりはエネルギーの浪費でしかない。
そして、そのエネルギーは永遠に還っては来ないのだ。
私は相手の気を悪くさせない程度に冷たく対応をするす
べを身に付けている。
この能力が20代の頃にあったらなぁ、と思う。
その頃は自分の気持をダイレクトに態度に表していた。
それで良いと思っていた。
正直で何が悪いと思っていた。
だが、そうした態度がよろしくないということに気づいた
のは、その後である。
痛い目にあっていろいろ学んだのだ。
規定の分量を採取し私は一足先にトイレを出た。
~続く~