翌朝、私はオ-クション・サイトを確認した。
落札されている。
落札者は私である。
(えぇ~、本当に落札されたのか。)
(他に入札者はいなかったのか?)
最初に思ったのは以上2点である。
落札を希望していたものの、まさか本当に落札できる
とは思っていなかった。
私は取引ナビに入力をし、取引を開始する。
(あぁ~、何だか悪いなぁ)
私は申し訳ないような気持ちになってきた。
脅して無理やり手に入れたような気にもなる。
それも、見ず知らずの人からだ。
嬉しい、儲かったという気分は、微塵も出てこない。
私は取引ナビで謝罪に近い内容の文言を記入し送信
した。
出品者は、全然大丈夫です、と返信してきた。
本当にそうなのだろうか?
1円では、梱包資材の経費もでないではないか。
私はすまない気持ちでいっぱいになる。
希望の品を安価で手に入れたという喜びは、どこにも
ない。
あぁ、こういう心境になるのか。
体験してみないとわからないことは、まだまだいろいろ
ありそうである。