ロックの世界では、ライブ中のギター破壊、ドラム破
壊という行為が流行った時期があった。
1960年代末から70年代中頃までのことである。
壊されるのは主にギターがほとんどで、ドラム破壊を
するバンドはごくわずかだった。
ギター破壊は、絵になると考えられていたのだろう。
ライブが佳境に入り、大いに盛り上がったところで、
長い間奏を挟む曲になる。
そこで、ギタリストがギターを壊しにかかる。
ギターのネックを両手で掴んで、巻き割のようにステ
ージの床に叩きつける。
振り回してアンプにぶつける。
壊すだけではない。
薬品やオイルをギターに仕込み、燃やすというのもあ
った。
ステージ上で炎上させるのである。
それを見て観客は大興奮する。
盛り上がっているライブが、一層盛り上がる。
一種のブームだった。
80年代以降は、ギター破壊をするミュージシャンは激
減していった。
だが、消滅したわけではない。
X JAPANは、今でもドラム破壊を行う。
いずれのバンドも壊す楽器はイミテーションである。
音は普通に出るが、いわゆる安物である。
1970年代当時、ファンはそんな裏事情は知らなかった。
毎回楽器を惜しげもなく壊すのを見て「ロックバンドって
儲かるんだな」と思っていた。
私もその一人である。