私は、NHK-FM「ウィークエンド・サンシャイン」を聞い
ていた。
朝の時間帯なので、いつものようにながら聞きである。
この番組は当たり外れが大きい。
「これは!」というような盤が紹介される日もあれば、
「なんでこんな盤を得意気に放送に載せるのだ?」という
日もある。
今日は当たりの日だった。
ライブ・イン1967」である
英国のミュージシャン・ジョン・メイオールがかつて率い
たブルースブレイカーズの発掘音源である。
オランダの大ファンが、ライブ会場にオープンリール・テ
ープレコーダーを持ち込んで録音した私蔵音源を、ジョン・
メイオールが近年入手し、それを正規音盤化し発表した
のだ。
オープンリールと言っても、音が良いわけではない。
その頃は録音機器=オープンリールだった。
1967年当時は、カセットテープがまだ発売されていな
い時代である。
このオランダの大ファンが使ったレコーダーも、当時とし
ては一般市民が辛うじて持っているような機器である。
オーディオ用に特化されたものではない。
レコード会社や放送局が使っていたようなプロ仕様では
ないのである。
したがって、音はよろしくない。
だが、そこに収録されている演奏は、そうした音の悪さ
を超えたものがある。
ここでのピーター・グリーンの演奏は、神がかっている。
メンバーは、メイオールのキーボードの他には、ピーター・
グリーンがギター、ジョン・マクビーがベース、ミック・フリー
トウッドがドラムという顔ぶれである。
この後、バンドはメンバーはリーダーのメイオールひとり
を残して、全員脱退してしまう。
そして、あのモンスターバンド、フリートウッド・マックを結
成する。
この頃のピーター・グリーンは、実に素晴らしい。
再現不可能な天才の技である。