不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

島倉千代子という人。

  島倉千代子氏といえば、こんなエピソードを思い出
した。(以下敬称略)
 これは以前、雑誌で島倉千代子の小特集が組まれ
た際に私が読んだものだ。
 島倉千代子には国民的な人気のある歌手だったが、
特に熱心なファンも大勢いた。
 ある日島倉のもとにファンレターが届いた。
 「私は長い間島倉さんのファンです。
 そして私の父も大ファンです。
 その父が今長患いの末、明日をも知れぬ状態になっ
ております。
 そこでお願いがあります。
 私の父の枕元で歌を歌っていただけないでしょうか?
 そうすれば、父も少しは良くなるかもしれません。
 お願いします」
 手紙の文言は一字一句この通りだったかは不明であ
るが、要はこうした趣旨の手紙を島倉に送ったファンが
いたのである。
 なんとも世の中の仕組みを知らない勝手な願いではあ
る。
 いくら大ファンだからといって、顔も知らない一ファンが
頼むようなことではない。
 歌手は人前で歌を歌えばギャラが発生するということ
も知らない、理解していない人が意外に多くいるもので
ある。
 この手紙を受けとった島倉はどうしたのか?
 それから数日後、そのファンの父の病室に願っていた
人が現れた。
 島倉千代子本人がやって来たのである。
 そして一曲歌ったのだそうだ。
 何の面識もないファンのためにわざわざ足を運んだの
である。
 このようなことは普通ではあり得ない。
 お見舞いの言葉を添えた返事を送ることだって、殆ど
ないことだろう。
 それが大スター自ら赴いてファンの願いに応えたので
ある。
 島倉千代子とは、そういう人だったのである。