不二家憩希のブログ

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遠藤太津朗さん、ご逝去。その⑤

 遠藤太津朗さんは、卓越した演技力を持った俳
優だった。
 あのような自然な台詞回しは、どのようにして会
得したのであろうか。
 遠藤さんは、ごく若い頃から俳優活動を始めてお
られたそうだ。
 自分の新劇の劇団も運営されていた。
 だが、俳優の世界は厳しい。
 遠藤さんほどの演技スキルがあっても、俳優だけ
で食べていけなかった。
  業界から評価されていなかったわけではない。
  "座頭市"シリーズや"眠狂四郎"シリーズや小津
安次郎の"小早川家の秋"にも出ている。
  世界の小津から声がかかるのだから一流の中の
一流である。
  テレビドラマにも60年頃から数多く出演している。
  それでも、役が小さなものばかりだったようだ。
  ようやく俳優一本で暮らしていけるようになったの
は40歳過ぎだった。
 ちょうど”銭形平次”で三輪の万吉親分役に就いて
から2~3年後の頃である。
  遠藤さんは身長が176㎝もあった。
  1928年生まれの方としては、かなり大柄である。
  それが個性として認知されれば良いが、目立ち過
ぎてしまうマイナス面もある。
  映画やドラマの主役を張る俳優は、意外なほど小
柄なことが多い。
  そのため、遠藤さんのような大柄の俳優が同じ画
面にいては、主役がかすんでしまうと判断されたの
かもしれない。
  それにしても遠藤さんほどの能力を持っておられ
ても、すぐには収入に結びつかないとは、俳優の世
界は実に厳しいものである。
 
  ~続く~