遠藤太津朗さんは悪代官をはじめとして多くの悪
役を中心に活躍された。
その悪役もどこか憎めない、ちょっと面白い悪役
が多かった。
それも悪の非道に徹するのではなく人間味を感じ
させる人物が多かった。
これは遠藤さんの大きな持ち味の一つである。
”悪いのだけれど面白い”のである。
世に実在する悪人達は、芯から悪人である。
悪いことを悪いとわかっていながら、平然と悪事を
行うのである。
良心のかけらも無い。
遠藤さんが演じてこられたそれらの”ちょっと面白
い悪人”は遠藤さんの創造した作品と言えるだろう。
何だ、それではリアリティに欠けるな、と思われる
方もおられrかもしれない。
だが、映画やテレビドラマをあまりにも事実に忠実
に作ってしまうと、かえって面白くない作品になって
しまう。
緊迫感はあるかもしれないが、息が抜けない。
身につまされたり、嫌な気分になってしまう。
何より見ている人の現実を思い起こさせてしまう。
これでは、夢が見られない。
遠藤さんは、面白い悪人をえんじることにより作品に
幻想をもたらし、作品をより私達の元へ近づけた。
この功績は大きいと思う。
遠藤さんはファンタジーの作り手だったのだ。
~続く~