1970年のピーター・フォークの出演作品は、
”Husbands ハズバンズ”だった。
この作品は、フォークの盟友ジョン・カサヴェテス
が脚本を書き監督を務め、加えて主演の3人のうち
一人を演じている。
カサヴェテスは、俳優と監督の両方をこなす人と
して知られている。
だが、カサヴェテスは元々は監督志望で、俳優
として映画などに出るのは自作の映画を制作・監
督に必要な資金稼ぎのためだったそうだ。
カサヴェテスは、フォークよりも2つ年下ではあっ
たが、フォークと違い早くから映画業界入りしてお
り、1951年には既に映画デビューを果たしており、
59年には初監督作品を公開している。
この初監督作品のためにカサヴェテスは、広く出
資を募った上に親からもお金を借りている。
まぁ、ここまでは、よくある話といえるだろう。
だが、制作途中で資金難に陥り当時妊娠中だっ
た妻のジーナが貯えていたお金まで持ち出してし
まう。
う~ん、これはいくらなんでもやってはいけないだろう。
カサヴェテスは、良く言えば”映画馬鹿”、だが世間
一般では、こういう人間のことを”人でなし・ろくでなし”
と呼ぶ。
結果的に、この監督デビュー作は業界からも高評
価をされ、カサヴェテスは大手映画会社からのオファ
ーが来るようになる。
しかし、それ以降もカサヴェテスのあまりの芸術家
指向のふるまいにより、業界内で衝突がくり返されカ
サヴェテスは映画界を干されてしまう。
フォークは、カサヴェテスと違い世渡り上手な俳優
ではあったが、その外見からは窺い知れぬほど芸術
家としての生き方を意識していた。
フォークとカサヴェテスは、こうした点からもウマが合
ったのである。
さて映画は、共通の友人の葬式に参列した男3人組
は、陰鬱な気分のまま飲み明かすことになり、そこか
ら3人のたがの外れた数日間が始まる・・・、というもの
である。
主役は、3人組でカサヴェテス、フォークとベン・ギャ
ザラが扮している。
ギャザラもまたカサヴェテスやフォークとプライベート
でも友人同士で、この映画はプライベートの人間関係
が作品にそのまま持ち込まれている。
ちなみに、カサヴェテスの息子のニックと娘のゾーイも
出演している。
ニックは俳優、ゾーイは映画監督して現在も活躍中で
ある。
何と”ライフ”誌の表紙にもなっている!
予告編
制作風景。
~続く~