不二家憩希のブログ

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ピーター・フォーク氏ご逝去に寄せて その23

 ピーター・フォークは1956年の俳優デビュー以来、
オフ・ブロードウェイ→ブロードウェイ→テレビ・ドラ
マと順調に駒を進めてきた。
 そして、1958年、ピーター・フォークは映画初出
演を果たす。
 その映画”エヴァグレイズを渡る風”は9月11日、
ニューヨークで封切りされた。
 撮影は、1957年11月から1958年11月まで、作品
の舞台となったフロリダ州エバーグレーズ国立公園
でのロケを中心に行われた。
 サギなどの鳥の他にもワニも棲んでいる。
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  この映画”エヴァグレイブズを渡る風”は9月11日、
ニューヨークで封切りされた。
 作品は、当時としては極めて珍しい自然保護が
テーマの一つとなっている。
 今でこそ自然保護は、人類の重要課題として認
知されているが、1958年当時に、そんなことを言
う人は殆どおらず、またそれをわざわざ映画化しよ
うとする試みも稀だった。
 そのためこの映画は先進的な社会派ドラマとして
今日でも高い評価を受けている。
 監督は名匠ニコラス・レイで、他に”理由なき反抗”
”大砂塵”など手がけている。
 ストーリーは、次の通りである。
 舞台は20世紀初頭、米国では婦人の帽子に羽飾
りをつけることが大流行していた。
 当時の絵画やその当時を描いた映画を見ると、そ
うした装いの女性を沢山見つけることができる。
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 羽根飾りは、サギやフラミンゴの羽根で作られてお
り米国ではそれらの鳥の乱獲、密猟が横行していた。
 フロリダ州エバーグレーズの湿地帯でもそうした
の密猟が行われており、民間の自然保護団体
視員を置くことにした。
 物語は主人公である監視員と敵対する密猟グル
ープとの戦いを軸に運ばれていく。
 主役は1929年生まれのクリストファー・プラマーで、
彼の初主演作となる。
 プラマーはこの後”サウンド・オブ・ミュージック”で
トラップ大佐役を演じ広く知られるようになり、現在
至るまで数多くの映画・テレビドラマに出演してい
名優である。
 さて、フォークの役は密猟グループの子分の一人
である。
 役名も”作家”となっているだけで、これは劇中の
あだ名であって氏名は無い。
 セリフも殆ど無い。
 配役序列では5番目になってはいるが、役どころと
しては文字通りの脇役である。
 脇役の脇役といってもいだろう。
 物語の進行に関わる役ではないのだ。
 顔は髭だらけで、私たちが知っているフォークとは
別人で表情もよく見えない。
 テレビでは主役を2本、準主役1本を演じたフォーク
でも、映画ではその程度の扱いなのであった。
 これは、1958年当時の映画とテレビとの力関係、
格の違いを表しているといえるだろう。
 フォークの映画デビューは、ひっそりとしたもので
あった。
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 8:24に出てくる主人公を抑える帽子をかぶった
髭の男がピーター・フォークである。
 9:28にも画面右手に映る。
 9:52には帽子を取っている。
 セリフは無く、ただニヤニヤしているだけである。
 
 0:11にボートの後部に乗っている。グループの
裏切り者を連行したシーンである。
 ここは私的制裁を加えるための謀議の場でこの
後、男は処刑される重要な場面である。
 だが、フォークにはセリフが無い。
 ただ立っているだけである。
 2:08にボートで去っていく後ろ姿が映る。
 
 実に地味な映画デビューである。
 
 ~続く~