不二家憩希のブログ

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ピーター・フォーク 刑事コロンボへの日々 その③

 1961年春は、ピーター・フォークの出演番組が
相次いでいた。
 4月25日、フォークは大変な人気番組に出演した。
である。
 この番組は、サスペンス・マスター・ヒッチコック
が制作・監修・解説を手がけたもので、全米はもと
より日本でも大いに人気になった。
 その質の高い内容は今でも多くのファンの心を
掴んでおり、ネット上には幾つものファンサイトが
運営されている。
 1961年頃の米国のテレビ界は、多くの点で発展
途上であり、映画の質には及ばない状況にあった。
 放送設備や収録システムなどのハード面は未だ
使い勝手が悪く、制作システムや、素材とする題
材の選択の点でも映画には大きく後れをとっていた。
 テレビドラマも、ドキュメンタリーに徹し過ぎるか、
ご都合主義で話が展開していく絵空事になるか、
どちらか両極端になりがちだった。
 当時のテレビ界は何を放送したら良いのか、もう
一つわかっていなかったとも言える。
 そこへ、映画界のサスペンスの王様ヒッチコック
が乗り込んできたのだった。
 ヒッチコックは、当時気鋭の新進作家による短編
小説を次々にドラマ化していった。
 これらの作家の中には、ヒッチコック作品に取り上
げられることにより大きく脚光浴び後に人気作家と
して成長していった者も多い。
 ヒッチコックとそのスタッフは、それらの素材を極
めて高い演出技法を用いてドラマ化していったので
ある。
 フォークが出演したのは”Gratitude 男には情が
ある”という作品であった。
 この作品では、フォークは主演だった。
 久しぶりの主役である。
 しかも、人気番組である。
 これも、アカデミー賞エミー賞にノミネートされた
ことによるものであろう。
 フォークはカジノのマネージャー・マイヤーの役だ
った。
 マイヤーは、自分の死をひどく恐れており、他人
の葬式にも出席できないほどであった。
 マイヤーのこの苦悩を知る者は、召使のジョンだ
けだった。
 マイヤーはあるアクシデントから、自分がギャング
から命を狙われていることを察知する。
 マイヤーは、他人に命を奪われるくらいなら自分
で何とかしよう、と思うのだが ・・・。
 この作品でフォークは、コロンボ時代では想像もで
きないほどのダンディな出で立ちを披露している。
 私はコロンボ時代に「ピーター・フォークって、本当
はダンディでかっこいいんだよ」という記述を読んだ
ことがある。
 この映像を見れば、それも納得できる。
 YouTubeに全編がアップされている。
 
 
 
 ~続く~