不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

逆境が冷静さをもたらす。

 なでしこジャパンは日本中を熱狂させた。
 だが、そんな中にあっても彼女たち自身は実に
冷静なのだそうだ。
 優勝直後のインタビューでもそうだった。
 スポーツ選手にありがちなナルシズムに浸った
ような発言もなかった。
「自分を褒めてあげたい」といった自己陶酔も無か
った。
「皆さんに感動を与えたい」というような上から目
線の物言いもなかったように思う。
 これまでのスポーツ人生を振り返り苦難を訴える
ようなこともなかった。
 実にクールなのだ。
 では、何故彼女たちは冷静でいられるたのだろう
か?
 私は、彼女たちが置かれてきた立場が、冷静さを
培ってきたと考えている。
 日本では、女子サッカーはきわめてマイナーな位
置にある。
 ひょっとしたら、女子サッカーの存在すらご存じない
方もおられたかもしれない。
 そのため、アマチュア時代から周囲から特別扱い
されることは一切無かった。
 活字や放送などの大手メディアでも殆ど取り上げ
られることも無かった。
 学校では特待生扱いも無かったであろうし、企業
から就職の誘いも無かった。
 企業の協賛もごく零細な規模でしかなかく、有名
企業からは相手にもされなかった。
 出身地でも有名人でもなかった。
「幼い頃から皆が知るサッカーの神童だった」などと
いうありがちなエピソードが言い伝えられることもな
かった。
 活動の拠点でも、彼女たちを知る人も極めて少な
かった。
 選手たちの顔を直接知っているような人でさえ「あ
のいつもジャージ姿の女の子たち、何やっているの?」
と思っていた。
 女子サッカーをやっているからといって、日本中の
誰もちやほやしなかったのだ。
 いわゆるスポーツエリートの扱いは一切なかったの
だ。
 彼女たちは幼い頃から、そうした環境にいたので世
間を冷静に見ていられるのだと思う。
 逆境は辛いものであるが、それに見合うだけの恩恵
も与えてくれるのである。