不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

ゲイリー・ムーア氏、ご逝去。

 アイルランドの偉大なロックギタリストである
ゲイリー・ムーア氏が2月6日休暇先のスペイ
ンのホテルで亡くなった。(以下敬称略)
 ムーアは前日の夜もファンと談笑する姿がホ
テル従業員に目撃されており、健康状態に問
題があるようには見えず元気そうだったという。
 死の手が就寝中のムーアをさらって行ってしま
った。
 早熟の天才だったムーアは16歳の時、ロック
ンド・スキッド・ロウでデビューしている。
 ムーアは見た目がある意味普通過ぎるので
そういう感じはしないが、紛れもない天才少年
だったのだ。
 ムーアはその後バンドの同僚だった盟友フィ
ル・ライノットが結成したバンド、シン・リジー
参加することになる。
 シン・リジーはヒットを飛ばし全米でも大成功
を納めた。
 これはアイルランド出身のミュージシャンとし
ては史上初の快挙だった。
 そのためシン・リジーアイルランド人なら誰
でも知っているバンドとなった。
 どんなお爺さん、お婆さんでも彼らのことを知
っている。
 普段ロックは聞かないような人でも彼らの活躍
を認めている。
 シン・リジーは母国アイルランドにおける国民
的英雄なのだ。
 ゲイリー・ムーアの訃報に際し、欧米では彼の
ことを未だに「元シン・リジー~」と形容されて
いるのは、このためである。
 その後ムーアはシン・リジーを脱退しソロ活動
に入ることになるが、「元シン・リジー」という形容
アイルランド人の彼にとっては勲章のようなも
のだった。
 シン・リジーにおけるムーアの活躍は素晴らしか
ったが、彼の本領はその後のソロ活動にあった。
 ハードロックギタリストとして、亡くなる瞬間ま
その頂点に位置し続けた。
 彼は早弾きの名手としても知られていた。
 だが、彼のギターには本来なら早弾きには到底
かないヘビーゲージの弦が張られていた。
 硬い弦であるヘビーゲージは、迫力ある音色を生
むが、演奏には負荷も大きい。
 しかし彼は硬い弦でも難なく高速のフレーズを繰
り出していったのだった。
 これは普通はあり得ないことである。
 彼の誰にも真似の出来ないサウンドの秘密は
ここにあった。
 この地上でエレクトリックギターを最高のテクニ
ックで、最も情感を込めて弾きこなしてきた男が
この世を去った。
 ブラック・サバスのギーザー・バトラーはこう語っ
ている。
「史上最も偉大なギタリストであるゲイリー・ムー
アの訃報に、とても心を悼めています。彼にアル
バム「Still Got The Blues」は晴らしい作品で、
私のフェイバリットの一つです。彼にプレイを盗む
ことは出来ません。彼は魂で鳴らしていたのだから」
 音楽界の喪失はあまりにも大きい。
 それでは彼がモントルー・ジャズ・フェスティバル
に出演した時の映像をご覧下さい。