11年前、現在故障中のテレビの前の代の
テレビがやはり壊れた。
その時は、急に画面が真っ暗になり何も見
えなくなってしまったそうだ。
私は「それなら、少しの間、テレビが無い生
活も良いんじゃないか?」と両親に言った。
我が家では毎日毎日テレビを見てきた。
それでこんな機会を利用してにテレビを見な
い期間を作っても良いのでは?と思ったからだ。
両親はこれには答えなかった。
翌日は私は家電販売店に寄り、テレビのカ
タログをもらってきた。
これを見てゆっくり選べば良いと私は思った
のだ。
私はカタログを手に家に入った。
部屋からは何とテレビの音がする。
そんなはずは無い、と思い部屋に入ると、そこ
には新品のテレビがあった。
両親はその新しいテレビを見ていたのだ。
「えぇ~、何でもうテレビがあるの!?」
私は呆れて尋ねた。
「○○電気店に言ったらすぐに持ってきてくれた」
そりゃぁ、電気店はそう電話が来れば「待って
ました」と品物を届けるだろう。
結局、私の両親はたった一日でもテレビ無しの
生活が出来なかったのだ。
彼らはそれほどテレビが好きだったようだ。
テレビ好きといえば子供、というイメージが強い
が現役をリタイアした世代にもテレビ好きは多いら
しい。
私の両親もまたそうした人たちの仲間だったのだ。