県護国神社への寄付を集めて回った。その⑦

　最初のＳさん宅では３００円もの寄付を頂
き、私は気分が良くなった。
　通常、この寄付金は一軒あたりの相場は１
００円だからである。
　どなたかが１００円と決めたわけではない
が、当班ではそうなっている。
　勿論これは強制した金額ではない。
　１０円では、さすがに少な過ぎる。
　それで５０円か、１００円ということで。
いつの間にか１００円に落ち着いたようだ。
　５０円だ、１００円だ、と細かいことをこ
だわって書いているようだが、それはそれな
りに理由がある。
　県護国神社は県庁所在地の中心部にあり、
私達が住む市からはかなり離れている。
　護国神社と言う性格上、戦争遺族でもない
限り、わざわざそこを目的に出かけることも
無い。
　おそらく、班内の方で県護国神社に一度で
も参詣した方は殆どおられないと思う。
　ひょっとすると、Ｓさんはお参りされたこ
とがあるかもしれない。
　だが、他の方は無いと思う。
　冷たく割り切った言い方をすれば、遠方に
住む我々一般人には縁が無い神社なのである。
　したがって、遠方の参詣する予定も無いよ
うな神社に寄せる寄付金なので額も小さくな
って当然とも言える。
　それなのに、各戸が寄付の要請に応じてい
るのは町内会を通じて寄付のお願いが来てい
るから、というただ一点なのである。
　寄付金の額が少ないのでは？というご意見
もあろうかと思う。
　だが、班にプリント一枚と世帯数分の封筒
を寄越すだけでその年の班長さんがせっせと
各戸を回ってお金を集めてくれるのである。
　そんな便利で有難い集金システムなど他に
は存在しない、ということを県護国神社の関
係者には知って欲しいと思う。

　～続く～