県護国神社への寄付を集めて回った。その⑥

　県護国神社の寄付金集めの場合は、伊○神
宮の場合と異なり寄付金が任意なので集めや
すい。
　細かく考えたら、町内会を通して護国神社
の寄付金を集めることに対しては疑問がある
が、この際は目をつぶっておくことにした。
　目をつぶると言っているわりには、こうし
てブログに記事として書いているのだから内
心は複雑なのである。

　今回の寄付金集めでは、共同募金会の赤い
羽根の配布も同時に行うことにした。
　当町内会では、赤い羽根の募金は予め町内
会費の中に組み込まれているのだ。
　これを強制だ、と面白くなく感じている人
も町内会にはいるかもしれない。
　だが、自分が班長の年には一軒一軒回って
募金を集めなければならない。
　その手間を考えると町内会費として払う方
が面倒が無い、という意見で町内がほぼ一致
しているのだ。

　まずは班の一番端のＳさん宅へ伺う。
　赤い羽根を渡し、次に寄付金用の封筒を見
せて県護国神社の寄付金を集めに来たことを
告げた。
「ちょっと、待ってね。細かいのがあったか
な」
　Ｓさんは封筒を受け取るとそう言って奥に
引っ込んだ。
　ジャラジャラという小銭の音が聞こえる。
　封筒には氏名、住所、寄付金の額を記入す
る欄があり、それを書いておられるようだ。
　そして、その寄付金の封筒を持ってＳさん
が出て来られた。
　私は封筒を受け取り、挨拶をして家を出た。
　封筒を見ると、何と３００円も入っている
ではないか。
　おぉ～、いきなり３００円か。
　この寄付では、大体１００円が相場だと思
っていたが、その３倍である。
　Ｓさんのおじさんは、今はリタイアしてい
るが現役時代は護国神社に多めに寄付しそう
な職場にお勤めではあった。
　私は最初から３００円も預かったので、ち
ょっと気分が良くなった。

　～続く～