不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

マイケル・ジャクソン氏がトップになったのは、いつごろか?

 マイケル・ジャクソン氏関連の番組にデイ
ブ・スペクターが訳知り顔でいろいろと話し
ていた。
 賢明な皆さんならスペクターの言うことな
ど真に受けうることはないと思う。
 だが、ひょっとしてそのまま記憶に残して
しまった方がおられると気の毒なので、訂正
することにする。
 それは、「マイケル・ジャクソンはデビュ
ー以来、ずっとトップだった」という発言で
ある。
「トップ」が何を意味するかと言う点でも議
論があるかもしれないが、この場合は他に比
べるものがいないほど傑出している、という
ことにする。
 マイケル氏が真にトップスターになったの
は、アルバム「スリラー」以来である。
 彼は1963年にジャクソン5のメンバー
としてデビューしたのだが、すぐにレコード
デビューが出来たわけではなかった。
 ジャクソン5はオーディションを受けたり、
他のミュージシャンの前座を務めたり,とい
う下積みの日々が続いていた。
 そして結成一年後にマイケル氏がグループ
加入し、それから5年後にようやくモータウ
ンレコードと契約しレコードデビューを果た
している。
 その後デビュー曲から4曲連続全米№1を
記録している。
「じゃぁ、そのデビュー曲からずっとトップ
だった、と言う意味では?」と思われるかも
しれないが、それも少々違う。
 ヒットし、その後数年間は大人気だったが、
トップと言うわけではなかった。
 その頃のトップは黒人音楽の世界だけでも、
マービン・ゲイ氏やダイアナ・ロス氏らがい
たのだ。
 私の評定では、マービン・ゲイ氏やダイア
ナ・ロス氏を横綱とすると、ジャクソン5は
小結と言ったところである。
 数年後に大関横綱になる可能性あるが、
同時に平幕に落ちる可能性もある、といった
位置付けである。
 これは当時をご存知の方なら同意して頂け
ると思う。
 当時は、そんなものだったのだ。
 ジャクソン5は、その後マイケル氏の声変
わりもあり、今後の伸びが見込めなくなって
いった。
 一発屋っぽい感じになりつつあった。
 リード・ボーカリストが声変わりしてしま
えば、それらの曲は歌えなくなる。
 兄弟グループというのが売りなので、他か
ら新メンバーを入れるのも憚られる。
 4曲も全米№1の持ち歌があっても、歌え
なければどうしようもない。
 グループの先細りが見えつつあった。
 その上ジャクソン5は自作自演やセルフ・
プロデュースを主張しモータウンレコードと
の関係が悪化し、モータウンを離れている。
 ジャクソン5が真にトップの存在だったら、
モータウンも彼らを放さなかっただろうが、
わりとあっさりと離脱を認めている。
 マイケル氏も声変わりしてしまったし、将
来的にも大したことはなさそうだ、これ以上
商売にはならんだろうと考えたのだろう。
 移籍後のジャクソン5は、大方の見込み通
りそれほど売れず、低迷している。
 この時点では、かろうじて小結ではあるが、
それ以上に昇進しそうにもなかった。
 70年代のジャクソン5およびマイケル・
ジャクソン氏はその程度の存在だった。
 マイケル氏は78年には映画「ウィズ」に
出演する。
 主演はダイアナ・ロス氏でマイケル氏はか
かしの役である。
 重要な役とは言え、トップスターがかかし
の役をするわけが無い。
 当時はマイケル氏の位置付けはその程度の
ものだったのだ。
 この状況が大きく変り始めるのは、79年
発表の「オフ・ザ・ウォール」からである。
「ウィズ」で音楽監督を務めていたクインシ
ー・ジョーンズをプロデューサーに迎えたこ
の作品は大ヒットし、マイケル氏がソロでも
力量があると言うことを世間は知った。
 私も「へぇ~、マイケル・ジャクソンって
ソロでもやれるんだなぁ」と思った。
 この時点でようやく将来が楽しみなソロミ
ュージシャンとして認知され始めたのである。
 この作品の成功で、評価は関脇にまで上が
ったと思う。
 かといって、世間は「マイケル!マイケル!」
と言うほどでもなかった。
 マイケル・ジャクソン氏が本当にトップに
到達したのは。その次のアルバム「スリラー」
以降である。
 大関を飛び越していきなり横綱になったよ
うな勢いがあった。
「スリラー」以降については、よく知られた
通りである。

 デイブ・スペクターはいい加減なのか、知
ったかぶりなのか、間違ったことを平気でテ
レビで発表している。
 良い子の音楽ファンは気をつけていただき
たいものである。

 それではアルバム「オフ・ザ・ウォール
から「今夜はドント・ストップ」を紹介する。
 音楽的には素晴らしいがビデオの作りがど
こかチープな感じがすることは否めない。
 当時のマイケル氏の置かれた位置がわかる
と思う。