不二家憩希のブログ

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刑事コロンボのリアリティ。

 「刑事コロンボ」は、最初に犯人が犯行を
犯す場面から始まり、それをコロンボが解決
していく過程が描かれていく。
 これは倒叙法と呼ばれるミステリーの形式
である。
 ミステリーの世界でも少数派のこの形式を、
テレビドラマで用いることは極めて珍しい。
 視聴者をひきつけられる面白いストーリー
を作るのが難しいからである。
 だが、この形式には大きな利点もある。
 犯人は既に明白になっており、犯人探しの
必要が無い。
 これは予想外な犯人を用意する必要が無い、
ということでもある。
 刑事コロンボでも、犯人は被害者の配偶者
かビジネスパートナーといった犯人と身近な
人間か直接の利害関係のある人間が殆どであ
る。
 この映像作品としてはひねりの無い犯人の
設定が、刑事コロンボに強いリアリティと重
厚さを与えているのである。
 実際の殺人事件では、強盗殺人のようなケ
ースを除けば意外な人間が犯人であることは
殆ど無い。
 怨恨や利害関係のもつれが殺人事件を発生
させる要因となることが多いからである。
 ミステリー作品では、犯人の意外性を追求
するあまり、非現実的な犯人設定をされるこ
とがある。
 そうした現実には到底ありえない設定は、
作品の現実感を損ない、軽薄さを加えること
になってしまう。

 刑事コロンボが、世界で多くのファンを獲
得出来たのも、この作品に流れるリアリティ
にあると思う。