不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

「なんでも鑑定団」で明かされた横山大観の知られざるエピソード

 「開運!なんでも鑑定団」を観た。
 私は、この番組を毎週欠かさず観ている。
 この番組では、お宝を作ったクリエータ
達の興味深いエピソードがいくつも紹介され
る。
 今回、私の印象に強く残ったのは横山大観
にまつわるものである。
 日本近代最高の日本画家である横山大観が、
創刊が予定されていた、ある俳句同人誌の表
紙絵を依頼された。
 大観に表紙絵を依頼するくらいだから、大
きな出版社から出される雑誌かと思われそう
だが、そうではなく、あくまで無名の同人誌
である。
 しかしながら、大観に絵を依頼するのだか
ら、それに値するだけのお金は用意してあっ
た。
 当時既に大家だった大観は、依頼人にこう
尋ねたそうだ。
「貧乏する覚悟はありますか」
 これは、文芸をはじめ芸術を志す人間には
貧乏がつき物であるということを改めて確認
したのであった。
 大観自身が、若い頃大変な貧乏を経験済み
で、先の見えない中でもがいていた時代があ
った。
 依頼人は、その覚悟があることを大観に伝
えた。
 それを聞き、大観は絵の作成を了承した。
 今回の鑑定依頼品は、その大観の絵とそれ
に添えられていた手紙であった。
 大観は、青空に舞う白鷺の絵を描いた。
 大観らしいすがすがしい絵である。
 手紙には、同人誌の今後の発展を祈念する
旨が綴られていた。
 そして絵の制作費は、その気持ちだけ受け
取ると書かれていた。
 大観は、その全額を依頼人に返却したのだ。

 何と素晴らしい話だろう。
 当代の最高の画家が、芸術を志す人の意気
に感じ、無料で絵を提供したのだ。
 こんな話は、他では聞いたことが無い。
 無名の人間に対し、大家が無料で仕事する
とは、驚きである。
 頑張ってね、でも制作費はきっちり頂きま
すよ、というのが普通だろう。
 
 さすが横山大観である。
 大物は、知られざるエピソードの中でも、
やはり大物である。