不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

露天で過ごしたシャツ

 洗濯物を干していると、足元に薄いクリーム色の物が落
ちている。
 それは、私のシャツであった。
 緑色の雑草上にクリーム色のシャツ、色の取り合わせと
してはまぁまぁである。
 このシャツは正しくは何というのかよく分からないのだ
が、いわゆるスポーツシャツの類である。
 洗濯物を落としたままで、放っておいたのは、これで2
回目である。何という注意力不足なのだろうか。
 洗い上がりの洗濯物を干す時に古い洗濯物を発見すると
は、がっくりである。
 私は洗濯物を取り入れる時に、特に枚数を数えてはいな
い。洗濯物の何かが無くなっていても、気が付きもしない。
 大体、男の洗濯物を持って行こう、などという人もいな
いだろう。そんな話は聞いたこともない。
 洗って、干して、取り込んで、たたんで、しまう。
 その間に何の注意力も働いていないのだ。
 さて、今回はどうしようか。
 私は一週間に一度しか洗濯をしないので、丸一週間、こ
のシャツは露天で暮らしていたことになる。
 その間、本州を台風も通過した。このシャツは台風をじ
かに体験したということになる。
 台風シャツの誕生である。
 当地は幸いにも雨も風も大したことはなく普段と変らな
いほどだったのだが、それでも雨ざらしの目に遭ったこと
には違いがない。
 シャツを取り上げて詳細に調べてみる。
 これが意外なことに、殆ど汚れていないのだ。
 厳密に顕微鏡とかで見てみれば何かが付着しているのか
もしれないが、私は警察の科学捜査班ではないので、そこ
までは分からない。
 見た目が汚れていなくとも、においが付いているかもと
思ったが、何もにおわない。
 見た目が何ともなく、においもしないとなれば無罪放免
か、とも思ったが、一応もう一度手で水洗いをして、すす
ぐことにした。
 案外シャツは強靭である。このシャツは綿とポリエス
ルの混紡なので元々丈夫、ということもある。
 
 日常をピリピリして暮らしてもどうかとは思うのだが、
注意力をまるで発揮しないで過ごすという私の姿勢にも問
題があると言えよう。
 反省はしているのだが、結果が伴わない。

 自らの凡庸さに気づかされる機会は、あまりにも多い。
 ひょっとすると、あまりに多いのでその一つ一つを忘れ
てしまうのかもしれない。

 多すぎる教訓は、身に付いた凡庸さに抗することは出来
ないのかもしれない。